不登校は母親の責任?|母親だけに子育てを背負わせない社会へ

こんにちは。
不登校・ひきこもりの母親専門『チェンジングカウンセラーⓇ』の平井いずみです。
こどもが学校に行けなくなったとき、
「私の育て方が悪かったのかな・・・」
そんなふうに、自分を責めてしまうお母さんは少なくないのではないでしょうか。
ところで・・・
ここでちょっと考えてみてほしいことがあるのです。
それは、
「こどもが不登校になると、どうして母親は自分の育て方を責めてしまうのか」
ということ。
もちろん、こどもを大切に思うからこそ、心配になったり、自分の関わり方を振り返ったりすることはあると思います。
ただ、その背景には、私たちがこれまで当たり前だと思ってきた社会の価値観も影響しているのではないかと私は感じるのです。
実は私自身、息子の不登校・ひきこもりでもがき苦しんでから、長い間ずっと、自分の子育てを責め続けていました。
そして、そこから心理学やカウンセリングなどのさまざまな学びを深める中で、初めて知ったことがありました。
それは、個人の問題だと思っていたことが、実は社会の問題とも深くつながっているということ。
今回は、いつもとは少し視点を変えて、母親の罪悪感を生み出す社会の仕組みについて、一緒に考えてみたいと思います。
あなたの心が少しでも軽くなりますように・・・
【動画では、ポイントをまとめてお話ししています。】
※文章とはまた少し違って声でお届けしていますので、よかったら聞いてみてくださいね♪
こどもの問題は、どうして母親の問題になるの?

たとえば、こどもが学校に行けなくなって悩んでいる時に、
「なんでお母さんは、こどもの変化に気づかなかったんですか?」
「家庭では、どんなふうに接しているんですか?」
そんな言葉をかけられたとしたら、どう感じるでしょうか。
もちろん、こうした問いかけが、必ずしも母親を責める意図で発せられているとは限りませんよね。
こどもの状況を理解したり、必要な支援を考えたりするために、家庭での様子を聞く必要があるからです。
ただ、その問いかけがいつも母親にばかり向けられていたら・・・
知らず知らずのうちに、
「こどもの問題は、母親が何とかするもの」
という考え方が、強くなってしまうこともあるのではないかと感じています。
そもそも、こどもが成長していく場所は、家庭だけではありませんよね。
もちろん、年齢によっては家庭で過ごす時間が一番長く、大きな影響を受ける時期もあります。
ただ、家庭だけではなく、保育園や幼稚園があり、学校があり、地域があり、友人との関係があり、社会がある。
こどもは、そのようなさまざまな環境の中で、たくさんの人と関わりながら成長していくのです。
それなのに、何か問題が起きたときだけ、母親一人に原因や責任を求めるとしたら・・・
それって、本当に残念だなぁと私は感じるのです。
「母親が何とかする」という前提は、どこから来たの?
①子育ての責任が母親に集中していった背景
実は、今では当たり前のように思われている「こどものことは母親が中心になって担う」という考え方。
これが広く定着していった背景には、日本の社会や家族の形が大きく変わったことも関係しています。
特に大きな転換点となったのが、昭和30年代から40年代にかけての高度経済成長期。
それまでの日本では、農業などの家業を家族で営み、祖父母をはじめ、複数の大人が子育てに関わる家庭もありました。
ところが、高度経済成長によって都市部に働く人が集中し、家族の形も大家族から核家族へと大きく変化。
そして、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という性別による役割分担が、標準的な家族の姿として広まっていったのです。
その結果、それまで祖父母や地域の人たちも関わっていた子育ての役割が、次第に母親に集中しやすくなっていきました。
もちろん、それまで母親の責任が問われなかったわけではありません。
ただ、このような社会の変化によって、家事や育児を母親が中心になって担う家庭が増えていったということです。
そして、そのような生活スタイルが当たり前になっていく中で、
「こどものことは母親が一番よくわかっていて当たり前」
「こどもの問題は母親が何とかするもの」
という考え方も、強まっていったのではないでしょうか。
実は、母親が子育ての責任を一人で背負うことについて、国も以前から問題を指摘していることを知っていますか?
たとえば、「三歳児神話」という言葉。
これは、こどもが3歳になるまでは母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響を及ぼすという考え方です。
かつては、当たり前のように信じられていた時代もありました。
ところが、平成10年版の厚生白書では、この三歳児神話について、『少なくとも合理的な根拠は認められない』と明記されているのです。
【参考:厚生省「平成10年版 厚生白書」第2章】
さらに、母親だけで子育てを抱え込むのではなく、父親や地域社会など、多くの人が関わることの大切さも示されています。
つまり、今から28年も前に、国の厚生白書でこのような考え方が示されていたということです。
ところが、それから長い年月が過ぎた今、社会の状況はさらに大きく変わってきていますね。
②共働きが増えても、変わらない家事・育児の負担

高度経済成長期には、「夫は仕事、妻は家庭」という家族の形が広まっていきました。
ところが、その後、女性の社会進出が進み、今では専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が、ずっと多くなっている現状があります。
さらに、2015年には「女性活躍推進法」が制定され、女性が仕事の場でも能力を発揮できる社会づくりが進められてきました。
女性が自分の意思で働き方を選び、社会で活躍できる機会が広がることは、とても大切なことだと思います。
ただ、ここで一つ忘れてはいけない大切な視点があります。
女性の働き方が変わった一方で、家庭の中で期待される役割は、どれだけ変化してきたのでしょうか?
実は、2021年の国の調査では、6歳未満のこどもがいる共働き夫婦の家事・育児・買い物などにかける時間のうち、77.4%を妻が担っていることが示されています。
この割合は以前に比べて少しずつ減ってきてはいるものの、依然として妻に大きな負担が偏っていることがわかります。
【参考:内閣府「令和5年版 男女共同参画白書」(特-8図)】
つまり、女性は家庭の外でも働くようになった一方で、家庭の中で担う役割は、いまだに大きいということです。
仕事も、家事も、育児も。
どれも大切なことだからこそ、一生懸命取り組んでいる女性は少なくないはずです。
だけど、社会の仕組みや私たちの価値観が、その変化に十分追いついていないとしたら・・・
結果的に、女性が担わなければならないことばかりが増えてしまうのが、今まさに起きていることなのではないかと思うのです。
働くことを求められる。でも、家事や育児の責任も、これまでとほぼ変わらない。
これでは、仕事と家事・育児の両方を担う女性に、大きな負担がかかってしまいますよね。
そして、何か問題が起きると、
「母親なんだから」
「お母さんが、もっとしっかりしないと」
そんな言葉が向けられることもある。
私たちは、こうして社会の変化によってつくられてきた役割分担を、いつの間にか、“母親として当然の責任”だと思い込んできたのかもしれません。
社会の中で女性に求められる役割は増えてきたのに、母親に求められる責任のあり方は、あまり変わっていない。
そこに、今も多くの母親達が苦しさを感じる背景の一つがあるように感じています。
だからこそ、私たち一人ひとりが、これまで当たり前だと思ってきたことを、自分ごととして考えていく必要があるのではないでしょうか。
【関連記事】母親とひきこもる子どもの背景にある共通点
母親の頑張りに頼り続ける社会

私は、長年にわたって行政関係機関で相談業務に携わってきています。
その中で、親子が抱える困難を、家庭の中だけで解決することの難しさも感じてきました。
たとえば、私自身もそうでしたが、こどもが学校に行けなくなると、学校との連絡や相談先探し、こどもの生活を支えることなど、家庭ではさまざまな対応が必要になることがあります。
わが子の年齢や状況によっては送迎が必要だったり、留守番ができないなどの理由で、仕事に支障が出ることだってあるのです。
それらの全てを、もし母親一人が担い続けているとしたら、どうでしょうか。
どれほどこどもを大切に思っていても、どう考えても一人でできることには限界があります。
ところが、そこで、
「もっとお母さんが寄り添ってあげてください」
「お母さんがこどもを安心させてあげてください」
と言われ続けたら・・・
母親は、さらに自分が頑張らなければいけないと思って、自分を追い詰めてしまうかもしれませんね。
もちろん、親がこどもの安心を支えることは大切です。
ただその前に、私たちが気づかないといけない視点があると思うのです。
それは、こどもを支えることと同じように、親自身も安心して暮らせるように支えていく必要があるのではないかということ。
こどもを支えるために、母親だけが頑張り続ける。
そのような状態を、いつまでも当たり前にしていていいのでしょうか。
私は、そこにも目を向けていく必要があると思っています。
こどもを支えるために、お母さんに何ができるか。
それを一緒に考えることも、もちろん大切です。
ただ、その前に・・・
「このお母さん自身は、今、どんな支えを必要としているのだろう?」
そんな問いがあってもいいのだと考えています。
さらに、
「お母さんが安心していれば、こどもも安心できますよ」
「お母さんが明るく笑顔で接することが大切ですよ」
そんな言葉を聞くこともありますね。
親の心の状態がこどもに影響することは、実際にあるのではないかと思います。
だからこそ、ここで少し考えてみたいことがあります。
母親が安心して暮らすことは、こどものためだけに必要なのでしょうか?
母親自身だって、役割の前に一人の人間ですよね。
苦しいときには助けてもらいたいし、安心して暮らしたい。
そのことに、『こどものために』という理由が必要でしょうか?
【関連記事】ひきこもりという悩みに必要な母親支援
「家庭の問題」にしてしまうと、見えなくなるもの
もうひとつ、考えてみたいことがあります。
それは、こどもの不登校を「家庭の問題」としてだけ捉えてしまうことで、見えにくくなるものがあるということです。
たとえば、
学校の環境が、そのこどもに合っていなかったとしたら・・・
集団生活の中で、本人が大きな負担を感じていたとしたら・・・
学校に通うことを中心に組み立てられた社会の仕組みの中で、ほかの選択肢が見つけにくくなっていたとしたら・・・
そうしたことにも、目を向けていく必要がありますよね。
確かに、家庭での関わりが影響している場合もあるかもしれません。
ただ、不登校の背景は一人ひとり異なり、いくつもの要因が重なっている場合もあります。
だからこそ、母親の育て方だけに原因を求めてしまうと、ほかにある課題を見落としてしまう可能性があるのです。
実は、文部科学省も、不登校への支援について、
学校に登校するという結果だけを目標にするのではなく、こども自身が進路を主体的に捉え、社会的に自立していくことを目指すという趣旨の考え方を示しています。
【参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(2019年10月25日)】
つまり、問われているのは、こどもをどうやって学校へ戻すかということだけではないということ。
その子が、その子らしく成長していくために、どんな環境や支援が必要なのか。
そして、その家族が孤立することなく暮らしていくために、社会には何ができるのか。
本来なら、そうした視点で支援を考えていく必要があるのではないかと思っています。
個人の悩みと社会の問題は、つながっている
ところで、2025年に放送された、松坂桃李さん主演のドラマ『御上先生』をご覧になったことはありますか?
このドラマの大きな柱となっていた、
「パーソナル・イズ・ポリティカル(個人的なことは政治的なこと)」
一見すると、個人の問題に思えることも、実は社会の仕組みや政治・構造と深くつながっている。
そんな考え方です。
実は私は、さまざまな学びを通してこの考え方に出会い、相談現場でも、その意味を実感してきました。
だからこそ、以前から大切にしてきたこの言葉がテレビドラマに登場したことは、とても印象に残っています。
たとえば、こどもの不登校を「母親である私の責任」だと思い込んでしまうこと。
それは、私個人の考え方だけではなく、これまで社会の中で当たり前とされてきた母親役割とも、深く関係していたのです。
だからこそ、個人の問題としてだけ捉えるのではなく、その背景にあるものにも目を向けていきたい。
私は常に、そんなふうに思っています。
「誰のせいか?」から新しい問いへ

息子が不登校・ひきこもりになった当時の私は、
「なんでこんなことになっちゃったのかな?」
と、いつも考えていました。
そして、その答えを、一番身近な自分の子育ての中に探し続け、自分を悪者として責め続けていたのです。
でも当時の私には、知らないからこそ、なかなか見えずに気づかなかったことがありました。
それは、私自身も、さまざまな社会の価値観の影響を受けながらその構造の中で生きていたということ。
そして、私たち親子の問題だと思っていたことの中には、家庭の中だけでは解決できないものもあったのではないかということです。
もちろん、親として自分の関わり方を振り返ることは大切です。
実際に私自身も、本当に苦しい思いをしながら自分の価値観や考え方を見直していきました。
だけど、こうして個人の問題としてばかり捉えていては、親子を苦しめる社会の側の課題が、いつまでも見過ごされてしまうのではないかとも思うのです。
つまり、誰か一人を悪者にしたところで、その背景にある大きな構造は見えてきません。
それなら、むしろ今持っている自分の中の問いそのものを変えてみることも、必要なのではないかと思うのです。
「誰のせいか?」ではなく、
「今、この子には何が必要なのだろう?」
「この親子が安心して暮らすために、どんな支えが必要なのだろう?」と。
そう考えることで、それまで見えていなかった選択肢が見つかることもあるのです。
そして、家庭だけで抱えていた問題を、学校や地域、社会と一緒に考えていく。
そんな方向に、少しずつ変わっていけたらいいなぁと思っています。
母親だけに子育ての責任を背負わせない社会へ
わが子が不登校やひきこもりになると、
「私の育て方が悪かったのかな・・・」
そう考えて、自分を責めてしまうお母さんがいます。
かつての私も、そうでした。
だけど、そもそも、こどもは母親一人で育てているわけではありません。
さまざまな場所で、多くの人達と関わりながらこどもは成長していきます。
それなのに、何か問題が起きたとき、その責任が母親一人に集中してしまうとしたら・・・
私たちは、そろそろこのこと自体に疑問を持ってもいい時期なのではないかと思います。
ただ、私は、親としての責任をなくそうと言っているわけではありません。
親だけでは担いきれないものまで、親の責任にしてしまっていないだろうか。
そのことを、一緒に考え続けていきたいのです。
しかも、こどもの数が減り続けている今だからこそ、私は、子育てを家庭だけの責任にしない社会の仕組みが、ますます必要になってくるのではないかと感じています。
こども達は、これから先の日本社会を生きていく大切な存在です。
だからこそ、その成長を家庭だけに任せるのではなく、社会全体で支えていく。
そのことについては、私たち大人みんなで考えていくべき課題なのではないかと思うのです。
子育てを支えるということは、困っている親子に「もっと頑張って」と伝えることではないはずですよね。
困ったときに安心して助けを求められ、その声を受け止め一緒に考えてくれる人がいる。
そして、こどもも親も、それぞれ一人の人間として大切にされている。
そんな社会であってほしいと願っています。
だってこどもは、私たち大人が営む社会の中で育っていくのだから。
それなら、その育ちを支えることも、母親一人の役割ではないはずですよね。
母親だけに子育ての責任を背負わせない社会へ。
そのために、私たち一人ひとりが、今まで当たり前だと思っていたことを、少しずつ問い直していけたらいいですね☆彡
社会の仕組みを一人で変えることは難しくても、
こうした視点を知ることで、
自分だけを責めずにすむこともあるかもしれませんね。
もし今、
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ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
あなたが1日も早く、今、抱えている悩みから解放されることを願っています。
いつでも私は、あなたを応援しています♪
この記事を書いた人

- チェンジングカウンセラー®
-
~ひきこもりという悩みや生き辛さをチャンスに変えてなりたい自分へと導いていく~
《40代、50代女性専門》チェンジングカウンセラー®の平井いずみです。
現在、鹿児島県在住。インターネットを中心に活動していますが、時々屋久島に出没します。
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