ひきこもりの子の親が、一人で抱え込んでしまうストレスの構造的背景

こんにちは。不登校・ひきこもりの母親専門『チェンジングカウンセラーⓇ』の平井いずみです。
「どうしてわが子がひきこもりだと、ここまで一人でストレスを抱え込まなきゃいけないの?」
そんな風に感じたことはありませんか?
この記事では、親がそう感じてしまう“構造的な背景”についてお伝えします。
こどものひきこもりのご相談を受けていると、
「毎日ずっと気が張りつめている」
「誰にも分かってもらえず、一人で抱えている感じがする」
そんな声を聞くことは、決して少なくありません。
高校1年で不登校になり退学。
在籍中も含めると、自宅に7年近くひきこもりだった息子がいる私自身、当時は実際このように感じていました。
それでも多くの親達は、
「私が弱いだけなのかもしれない・・・」
「もっと強くならなきゃ」
と、自分を責め、自分を追い込み続けながらストレスフルな日々を過ごしている現実。
だからこそ、私がまずお伝えしたいのは、今襲ってくるストレスはあなたのせいではないということ。
あなたが未熟だからでも、親として失格だからでもありません。
そこで今日は、「どうやってストレスを解消するか」「前向きになる方法」ではなく、
『どうしてひきこもりの子の親って、ここまで一人でストレスを抱え込んでしまうのだろうか』
というテーマで、その“構造的な背景”を、当事者・支援者両方の経験を持つカウンセラーとして、整理していきます。あなたの心が少しでも軽くなりますように・・・
目次
どうしてひきこもりの子の親は、ここまでストレスを抱え込みやすいのか?
ひきこもりの子の親がストレスを抱え込みやすい背景には、「自分では対処できないことが多い」という現実があります。
ここから2つ、具体的にお伝えしていきます。
①「状況が長期化しやすい」こと自体が大きなストレスになる

私自身もそうでしたが、親としてひきこもりの問題で一番苦しむのは、
「いつまで続くのか分からない」
「どこがゴールなのか見えない」
という、わが子の将来に対する不安や絶望感によるストレス。
確かに子育て自体、ものすごく大変です。
でも、普通の子育てでは、完全に親がかりだった乳幼児期を過ぎると、年齢とともに少しずつ手が離れていく実感が伴っています。
さらに、通常ですと、小学校→中学校→高校→・・・のように、将来どう進んでいくのか先が読めますね。
ところが、ひきこもり状態になると、突然その読みを閉ざされるだけでなく、むしろ以前の手のかかる状態に引き戻されてしまうことさえある。
先が見えない状態が延々と続くことって、真っ暗闇のトンネルの中をさまよっている感覚と同じ・・・
だから、それ自体が、大きなストレスになってしまいますよね。
一時的なトラブルならまだしも、このように日常生活そのものが緊張状態になるため、親としては心が休まる時間がほとんど無くなってしまうのです。
出口の見えないトンネルから抜け出す方法についてお伝えしている、おススメの記事です→【関連記事】出口の見えないトンネルの中で苦しんでいるあなたへ
②日常生活と切り離せないため、休める時間がない

こどもが家にいるということは、親は常にこどもの存在や気配を感じながら生活するということ。
と言うことは、日々わが子の出す物音や表情などの、ちょっとした変化にアンテナを張り巡らせ、
「今日は大丈夫かな?」
「今日は機嫌が悪そうだなぁ・・・」
などと、こどもの様子に一喜一憂し、気持ちが休まらない状態が続くのです。
これって、親にとっては、息の詰まるような思いで『こどもの様子をうかがうしかない状況』に追い込まれているとも言えますね。
このように、ひきこもり状態だと親が常にこどもの様子に気を配らざるを得ない「スイッチオン」の状態が続いている。
つまり、ちょっとでも「ホッ」と息をつけるような“オフ”の時間を持てない、とてつもなくストレスフルな構造を持っています。
しかも、今の日本では子育ての責任を母親一人に背負わせている状況が多々あって・・・場合によっては、味方になって一緒に考えてほしいパートナーから責められる状況もあるのです。
ひきこもりの子の親が一人で抱え込んでしまうストレスの構造的な背景
それではここから、ひきこもりの子の親が一人で抱え込んでしまうストレスの構造的な背景について、具体的に4つに分けてお伝えしていきます。
【構造①】なぜ、「ひきこもりは親の責任」がストレスを増すのか?

ひきこもりについて、「親の育て方が原因ではないか?」という見方が、SNSでも散見されるように、今でも根強く残っています。
この見方は、自分でもそう感じて、自責感に苛まれている親にとっては最も苦しく、さらに自分を縛って身動きを取れないようにしていくことにも繋がってしまいます。
すると、誰かに直接言われた訳ではなくても、その状況に敏感になっている親は、親戚やママ友との何気ない会話の中で、その“空気”を感じ取ってしまう。
実はこの時点で、親としては
「こどものひきこもりについて相談する=責められるかも知れない」
という前提を無意識に持ってしまうことがあるのです。
実際、相談現場でも
「怒られるかと思って覚悟してきたけど、そうじゃなかった」
と、ホッとされる方が本当に多くいらっしゃることでも、親達の見えない苦しみが可視化されていると感じています。
しかも、真面目にその見方を「そう思われても仕方がない」と、受け入れてしまう人ほど、わが子のひきこもりを『恥』と感じていることが多くて・・・
すると、その結果、実際に相談したい気持ちがあっても、
「自分のせいだと思われるのが怖い」
「こどものひきこもりの話をするのが恥ずかしい」
という思いがブレーキになり、行動を起こせない人もいるはずです。
それでも「自分の責任」と感じている親は、「自分が何とかしなくちゃ!」と、頑張り続けてしまう。
実は、やっかいなことに、『偏見』って外から攻撃されるものだけではありません。
この『社会の空気』は、無意識に親自身の心の中にも入り込み、ストレスを一人で抱え込ませる強大な力を持っているのです。
私達の中にある偏見の壁を乗り越えるための4つのアプローチについてお伝えしている、おススメの記事です→【関連記事】ひきこもり本人と家族が直面する“偏見の壁”を乗り越える方法
【構造②】「相談できない」こと自体がストレスを強めていく

本当につらいのは、ひきこもりの問題そのものと同じくらい、一人で抱えている状態・・・
つまり『誰にも相談できないこと』だったりする場合も多くあります。
話せない、弱音を吐けない、分かってもらえない。
そんな前提で、日々生じてくるさまざまな人間関係の中を、“平気なふり”をして生き抜いていかないといけないのが、ひきこもりの子の親達です。
それが続くと、当然、親自身も心身ともに疲れ切ってしまい、社会と一線を引くようになることもありますね。
実際、私もそういう時期がありましたが、ますます孤立していきました・・・
こうした状態が長く続くと、ストレスは出口を失い、親の心の中に溜まり続けるのです。
そうかと言って、『相談しない=強い親』ではありません。
むしろ、我慢できてしまう人ほど、「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせながら、限界を超えてしまうことがありますね。
だからこそ、相談しないことは、強さではなく、それだけ『自分の中に抱えているものが重い』というサインでもあることを、意識しておく必要があります。
私が苦し過ぎてママ友との付き合いを止めて孤立していた時期の、実体験を書きました→【関連記事】ママ友との付き合いが辛くてたまらない時の対処法
【構造③】親自身の感情が、後回しにされ続けている

あなたは、こんな風に考えたことはありませんか?
「この子が大変なんだから、自分のことなんて後回しでいい」
実は、多くの母親が、何の疑問も抱かずこのように考えています。
もちろん、当初の頃の私もそうでしたし、それ自体は決して間違いではありません。
だけど、その状態が何年も続き、その間ずっと我慢をし続けていると、親の感情は行き場を失っていきますね。
実は、このように親が自分の感情を抑え続けることで、心の中では少しずつ変化が起きているのです。
不安は無力感に変わり、
心配は自己否定に変わり、
疲労は「私のせいだから我慢しなくちゃ」という思考にすり替わっていく。
こうしてストレスは、外に出せないことで、自分を責める方向にいってしまうのです。
具体的なストレス解消方法についてお伝えしている、おススメの記事です→【関連記事】ストレス解消に効果のある3つのR
【構造④】「良い母親であろうとするほど、孤立しやすくなる」

実は、ここまでにお伝えしてきた3つの構造と、最後にお伝えする「良い母親であろうとすること」には、密接な関係があると私は考えています。
ちなみに、あなたの中にある『良い母親』って、どんなイメージですか?
たとえば、
・こどもの為には、自分を犠牲にすることもいとわないほど愛情たっぷり
・家事も育児も仕事も子育ても、すべて完璧にこなすスーパーウーマン
・いつも笑顔で優しくて穏やかだけど、何かあった時には頼れるしっかり者
もしかしたら、こんな感じじゃないですか?そして、そのイメージって、いつからあなたの中にある?
実は、私達がこどもの頃から無意識に刷り込まれてきた思い込みの一つが、この『良い母親』なのです。
女性の場合は、これ以外にも『良い娘』『良い妻』『良い嫁』・・・なんかがありますね。
そして、真面目で頑張り屋の人ほど、この『良い母親』であろうとする傾向が強くて。
すると当然、一人で頑張らなきゃと抱え込み、助けを求めるのが遅くなる。
「迷惑をかけたくない」
「これくらいで頼ってはいけない」
「自分で何とかしなければ」
そうやって、気付かないうちにいつの間にか孤立してしまうのです。
その結果、ストレスが限界まで溜まってしまう・・・
眠れない
イライラする
何もする気が起きない
そんな状態になっても、「まだ頑張れるはず」と、自分を追い込んでしまう。
これって、すでに個人の性格の問題で終わらせられるようなことではありません。
まさに、社会の構造的に起こりやすい流れなのです。
つまり、ここまでお伝えしてきたように、あなたが抱えているこのストレスは、いくつもの構造的な背景が重なった結果であり、あなたが弱いからでも、考え方が甘いからでもありません。
逆に、そんな苦しい状況の中で、あなたは必死に耐えてきた『真面目な頑張り屋さん』ということなのです。
『女性役割』『ジェンダー規範』についても知っておくと、今のあなたが置かれた状況を理解しやすくなります。→【関連記事】ひきこもりという悩みをジェンダーの視点で考える
ストレスを減らす第一歩は「頑張り方を変えること」ではありません

あなたが今、1人で抱え込んでいるストレスを減らすための第一歩は、何でしょうか?
それは、ズバリ!
今のあなたの苦しさを、自分で認めてあげること。
無理して、前向きにならなくていい。
これ以上頑張ろうとして、強くならなくていい。
今の自分を、変えようとしなくても大丈夫なのです。
ただ、
「私は今、とても大きな負担を背負っている」
「私の心は、もうストレスではち切れそう・・・」
「私は良い母親になろうとして頑張りすぎていたんだ」
そう認めることが、最初の一歩。
誰かに相談するかどうかは、その後ゆっくり考えていけばいい。
まずは、自分のしんどさを否定せず、しっかり受け入れることが大切なのです。
世間にとっての『良い母親』ではなく、わが子にとっての『良い母親』について考えてみたい人におススメです→【関連記事】あなたにとっての『キラキラママ』ってどんな人?
まとめ|親のストレスが軽くなると、親子関係も少しずつ変わっていく

いかがでしょうか?今日は、「ひきこもりの子の親が、一人で抱え込んでしまうストレスの構造的背景」というテーマでお伝えしてきました。
ひきこもりの親のストレスは、直接的な問題そのものと同様に、構造の中でも生じてきます。
だからこそ、親が楽になっていくことは、わがままでも逃げでもない。
あなたの心が緩んでいくこと自体が、わが子の支援の土台になっていくのだから・・・
もうこれ以上、一人で抱え込まなくてもいい。
毎日、一生懸命気を張りつめ、誰にも弱音を吐けず、それでも今日まで踏ん張ってきたあなた・・・
ほら、あなたは、もう十分頑張っています。
そろそろ、その頑張りを手放してもいいんです(*^_^*)
FAQ(よくある質問)
わが子のことでいっぱいいっぱいになると、どうしても自分のことは後回しになってしまいます。
それくらい母親って、こどもの事になると一生懸命なんですよね。
でも、だからこそ考え方や関わり方を少し変えることで、あなたの心はぐっと軽くなります。
最後に、ひきこもりの親が抱えるストレスについての疑問を、Q&A形式でまとめました。
あなたの心を少しでも軽くするヒントになれば、うれしいです(*^^*)
さて、ここまで読み進めていただいたあなたは、すでにわが子の未来を守る選択をしています。
その優しさは、ちゃんとわが子にも届いています☆彡
もちろん、今すぐ何かを始めなくても大丈夫です。
「少し話を聞いてほしいな」と思えたタイミングで、そっと受け取ってもらえたら、それで十分です(*^_^*)
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あなたが1日も早く、今、抱えている悩みから解放されることを願っています。
いつでも私は、あなたを応援しています♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を書いた人

- チェンジングカウンセラー®
-
~ひきこもりという悩みや生き辛さをチャンスに変えてなりたい自分へと導いていく~
《40代、50代女性専門》チェンジングカウンセラー®の平井いずみです。
現在、鹿児島県在住。インターネットを中心に活動していますが、時々屋久島に出没します。
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あなたも自分の中に隠れているその視点に気付き、ひきこもりという悩みをチャンスに変えて、なりたい自分を目指していく方法を学びましょう。

