息子のひきこもり|長期化を防ぐための接し方と社会復帰への道

こんにちは。

 

《40代以上女性専門》あなたのひきこもりという悩みをチャンスに変えて、生きづらさを解消し、なりたい自分へと導いていくチェンジングカウンセラーの平井いずみです。

 

内閣府が発表した2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果によると、 ひきこもり状態にある人は、全国で約146万人(15歳~64歳)と推計されています。

 

このように、ひきこもりは本当に大きな社会問題になっていますが、 実は男女の割合で考えると、男性が7割以上を占めているという統計があります。

 

厚生労働省の「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告では、相談事例のうち、男性は76.4%、女性は22.9%だったそうです。

 

実際私には息子と娘がいますが、ひきこもりになったのは息子でした。彼は、高校1年の夏休み明けから登校しづらくなり、冬休み前には完全不登校に突入。

 

すでにひきこもりから抜け出し、自立してから10年以上経過している息子ですが、学校に在籍中もほとんど登校しなかった状態を含めると、7年近くひきこもり状態が続きました。その間、本当に紆余曲折、いろいろありました。

 

ひきこもりは短期間で回復していく場合もあるし、息子のように長期化する場合もあります。

 

親としては、少しでも早くわが子が「ひきこもりから抜け出して欲しい」と願いますよね。私もそう思って、悩み苦しみましたから・・・ 

 

そこで今日は、私達親子の体験を踏まえて「息子のひきこもり|長期化を防ぐための接し方と社会復帰への道」というテーマでお伝えしていきます。あなたの心が少しでも軽くなりますように・・・

 

ひきこもりが長期化するのはどうして?

 

ひきこもりが長期化するのには、本人の心の状態や特性・環境などさまざまな要因が考えられますが、ここでは、息子の視点と親の立場についてお伝えしていきます。

 

①ひきこもりの息子の視点で考えてみる

まず初めに、ひきこもりの息子の視点で考えてみましょう。

 

ひきこもりが長期化するのは、息子が『車の運転中に、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状況』に陥っている可能性があります。

 

つまり、本人が「ここから抜け出さなきゃ!という焦り」と「外の世界に対する恐怖や不安」の間で葛藤し、身動きが取れなくなっている状態をイメージすると理解しやすいですね。

 

ひきこもりになるには、当然本人なりに理由があってそうなっているわけですね。

 

たとえば、学校や職場での挫折や対人関係での不安、自己肯定感の低下などの原因で外の世界に出るのが怖くなり、家の中にいる方が安全だと感じているのかも知れません。

 

また、「このままではいけない」と思いながらも、自分を責めてばかりいてはエネルギーも貯まリませんね。そうすると、当然、具体的な行動を起こす自信が持てないことにも繋がっていきます。

 

そして、ひきこもりが続くことで昼夜逆転や生活習慣の乱れが悪化し、さらに外出しにくくなるという悪循環に陥っていく。

 

息子の場合も、まさにそうでした。ネットゲームに明け暮れる日々を送り、もれなく昼夜逆転もセット!

 

こんな時、親は「インターネットを切って、ゲームができないようにしよう」と考えがちです。もちろん私もそうしました。

 

でも、その対応って、我が家の場合は残念ながら、息子の状態と親子関係を壊滅的にさせただけ・・・

 

【参考記事】ひきこもりだった息子にとってのネットゲーム

 

②親の立場で考えてみる

それでは次に、親の立場で考えてみましょう。

 

今の日本社会では、「こどもは学校に行き、卒業したら働くことが当たり前」という価値観を持ち続けている人が多いです。

 

その価値観が強ければ強いほど、世間の「当たり前」というレールから外れてしまうことが恐怖になっていきますね。

 

そして、それを「恥」だと感じてしまう。これが、当時の私の状態でした。

 

実は、息子が不登校からひきこもりになっていったのは、今よりもまだ人数も少なく、ひきこもり問題があまり大きく語られてはいない頃。

 

そのため、やはり周囲の受け止めは今よりもっとネガティブで、私は強く「世間の人に、息子の不登校・ひきこもりがバレたら大変なことになる」という考えに縛られていました。

 

実際、親戚や近隣の人から、良かれと思って「彼らにとっての正論」をぶつけられ落ち込んだこともあって。すると、余計頑なになってしまって心を閉じ、親戚や友人にも相談できず、隠そうとし続けてしまうという負のループに入っていく・・・

 

しかも、自分で自分に『私は子育てに失敗したダメな母親』というレッテルを貼り、さらに痛めつけてしまうのだから苦しいはずですね。本当につらかった・・・

 

ただ、我が家の場合は、途中から私自身が学ぶことで、自分を縛っていたさまざまな価値観や考え・思い込みなどに気付き、ひきこもりの息子に対する関わり方を変えていったため、ありがたいことに彼は無事に自立。

 

でも、私のように「恥」という思い込みに親がとらわれていることが、今、大きな社会問題にもなっている『8050問題』にまで発展してしまっている可能性もあるはずです。

 

【参考記事】ひきこもりの8050問題で悩まないように今すぐ親ができること3選

 

ひきこもりの長期化を防ぐための接し方

 

①ひきこもりの息子の人生を親がコントロールしない

まず1つ目は、ひきこもりの息子の人生を親がコントロールしようとしないこと。つまり、「干渉」するのではなく、「見守る」姿勢を持つことです。

 

実は、息子が不登校になった当初に私がやっていたことが、まさにそれ!彼を学校に戻そうと四苦八苦しながらコントロール、つまり「干渉」していたのです。

 

でも息子は、私が干渉すればするほど、何とかしようと動けば動くほど登校できなくなり、完全不登校に突入。つまり、当時はまだ「高校生」という所属先があったので『不登校』と考えていたけれど、実態はこの頃からすでにひきこもり。

 

何とか息子をコントロールしようとしていた不登校初期の対応が、彼を長期のひきこもり状態にしてしまった一因ではないかと、私は考えています。

 

と言うのも、その後、心理学等さまざまな学びを積み重ねる中で出会った「見守る」対応に変えると、親子関係が劇的に改善し、時間はかかったけれど息子が彼のペースで自立の道を歩むことができたからです。

 

でも、この「見守る」って、当時の私にとってはほんとに難しくて・・・

 

だって、見守るというのはこどもの前を先導して引っ張るのではなく、本人のペースを尊重しつつ、必要なときにいつでもサポートできる体制を整えておくこと。

 

えっ!それまでの『息子を引っ張りまわしていた』対応とは、完全に真逆!って感じで(;’∀’)

 

ただ、確かに「何か困ったことがあれば、いつでも相談してね」「どんな気持ちでも受け止めるよ」「そのままのあなたでOK(*^^*)」という温かい眼差しで親が接していると、本人はひきこもり状態でも安心して家で過ごすことができますね。

 

だからこそエネルギーが貯まり、自ら行動を起こしやすくなるのです。

 

【参考記事】親子関係を改善するためにやるべきこととは?

 

親子のコミュニケーションを増やす

次に2つ目は、親子のコミュニケーションを増やすこと。

 

こどもがひきこもりになると、親としてはどう接していいかわからなくなってきます。その結果、どんな会話をしたらいいのかすらわからず、腫れ物に触るような状況が続いている家庭が多いのではないでしょうか。我が家もそうでした。

 

でも、これは仕方がないこと。だって、親子で顔を合わせることや姿を見る機会が、ほとんど無くなってしまうからです。

 

だからといって、その状態のままなにも関わらないでいると、こどもに「自分は見放された」と思われてしまう可能性もあります。「自分は、親にとって、どうでもいい存在なんだ」なんて思われてしまっては本末転倒ですね。

 

だからこそ、親子のコミニケーションとして、まずは挨拶程度の普通の会話を意識してみて下さいね。そして、自分が緊張していることに気付いたら、『深呼吸、深呼吸』でリラックスが大事(^ ^)

 

「今日は天気いいよ〜」「この前、テレビで見た話だけど…」など、何気ない会話が、こどもが安心感を持つきっかけになります。間違っても「この先どうするつもり?」などの、ひきこもりの本人にプレッシャーを与えてしまうような、直球の話は御法度です。

 

また、会話がなくて親子で別々のことをやっていても、ただ同じ空間で一緒にいるのも、それはそれでOK (^ ^)誰だって、居心地の良い場所ならリラックスして心地よくいられるものだから・・・

 

【参考記事】見守ることと監視することのちがいとは?

 

ひきこもりからの社会復帰に向けたステップ

 

①自己肯定感を高めていく

ひきこもりのこどもが社会復帰するために必要な最初のステップは、自己肯定感を高めていくこと。つまり、そのままの自分を認め「自分は大切な存在」「自分はかけがえのない存在」だと思えることです。

 

私たち親は、つい、社会復帰を急ぐあまり、いきなりハードルを高くして、ひきこもりの本人をあれこれ動かそうとしてしまいがちです。でも、外に出て行くためには、ひきこもりの本人が、まず自己否定をしてエネルギーが枯れた状態から抜け出し、自分を認め自分を信じられるようになる必要があるのです。

 

実は、ひきこもりの本人が外に出ていくための土台を整えていくサポートって、一緒に住んでいる家族にしか出来ません。それ位大切なもので、この作業をきちんとしているからこそ社会復帰に向かうことが出来るのです。

 

決して、この順番を間違えないように意識していてくださいね。

 

【参考記事】ひきこもりという悩みに有効な『人薬(ひとぐすり)』という処方箋

 

そこで、自己肯定感を高めるためにひきこもりの本人にとって不可欠なのが、『自分にも出来た!』という体験を積み重ねること。

 

その真逆が「学校に戻る」とか「仕事を探す」などといった大きな目標を設定することですね。そうすると、ひきこもりの本人がプレッシャーに感じてしまって、逆に動けなくなる可能性の方が高くなってしまいます。

 

しかも、挫折を繰り返す体験が「やっぱり自分はダメなんだ」「どうせ何やってもうまくいかない」という自己否定の思い込みを強固にしてしまう恐れも・・・

 

まずは、家庭の中で小さな役割を持ってもらうといいですね。

 

たとえば、家族のために何か家事の手伝いをしてもらうことがお勧めです。本人の状況に合わせて、お風呂掃除とか洗濯、晩ご飯作りなどお願いしやすいものを選びましょう。

 

ひきこもりのこどもがこれらの行動をできた時には、親が積極的に「ありがとう」「助かったよ」と感謝の思いをしっかり言葉で伝え、本人の努力を認めることを忘れずに(*^^*)

 

そして、こどもが親から無理やり「やらされている」のではなく、「今日も自分でやってみよう(^^♪」と思える環境を作ることがポイントになります。

 

実は、息子の場合は私の転職に合わせて、晩ご飯作りをお願いしました。もちろん、昼夜逆転だったため、毎回きちんとできていたわけではありません。でも、少しずつ自分で調整できるようになっていきました。

 

さらに、晩ご飯の食材を買うために、1人でバイクに乗って買い物にも行くようになったんです。

 

息子の場合は、本当にこの晩ご飯作りから大きく変わっていきました。

 

私たち夫婦が息子の作ったご飯を「おいしいね」と言いながら食べたこと(^ ^)それがきっと、自己否定ばかりしている息子にとって「自分も役に立てているんだ」という思いを持てるようになり、家族の一員として認められ、自己肯定感を高めることができたのだと思います。

 

【参考記事】ひきこもりの息子が自己肯定感を持てるようになった理由

 

②第三者の力を借りる

次に2つ目のステップは、第三者の力を借りること。

 

ひきこもり問題を親子だけで解決しようとすると、どうしても感情的になったり、行き詰まったりすることがあります。

 

そのため、本人の気持ちが落ち着き、エネルギーを蓄えられてきたときには、いよいよ『人薬(ひとぐすり)』につながる段階です。

 

学校のスクールカウンセラー、ひきこもり支援団体や居場所・専門カウンセラーなど第三者の力を借りることが有効です。

 

特に、家族以外の誰かと話す機会を持つことで、こどもは新しい視点を得たり、少しずつ社会との接点を増やしたりすることができます。親自身も専門家と相談しながら対応を考えることで、不安やストレスを軽減し、適切なサポートができるようになっていきます。

 

と言うのも、何とか親子だけで解決しようとすると、親はどうしても「早く社会復帰させたい」という気持ちが強くなり、こどもにとってプレッシャーになってしまうことがあるからです。

 

また、親がどれだけ努力しても、その固定化した関係性の中で、本人の変容が見られないこともあります。そんなときは、第三者の力を借りることが非常に重要です。

 

親子とも、誰かに助けを求めることは、ハードルが高く感じられるかもしれませんが「一歩ずつ、出来ることから」を目指しましょう。

 

まずは親が「外部の力を借りてもいい」と自分に許可を出し、積極的にサポートを活用することでこどもが社会に戻る道を開く可能性が高まります。

 

【参考記事】自立へのプレッシャーを解消する方法

 

③親子で社会復帰の捉え方を変える

最後に3つ目のステップは、親子で社会復帰の捉え方を変えること。

 

これまでに刷り込まれてきた価値観から、私達は「社会復帰」と聞くと「学校へ戻ること」「就職すること」をゴールと考えがちです。

 

でも、今ではそれが全てではありません。本人にとっての「社会復帰」って、必ずしも『世間の普通』というレールに戻ることではなく、「自分なりの生き方を見つけること」とも言えるのですから・・・

 

たとえば、学校に戻ることが難しい場合でも、通信制高校や高卒認定試験などの選択肢があります。実際、息子は退学後は「大学に行く」と言って、予備校に申し込みましたが結局ほとんど通えず・・・

 

ただ、繋がっていた予備校を通して、なんとか高卒認定試験を受けられ資格があったため、後々専門学校に行って資格取得。無事に、就職することが出来たのです。

 

また、就職がすぐには難しくても、アルバイトやフリーランスの仕事、ボランティア活動を通じて、社会とのつながりを持つことはできますね。最近では、オンラインを活用して働く方法(在宅ワーク)も増えています。

 

息子の場合も、晩ご飯作りで買い物にも自分で行けるようになり、それがバイトに繋がりました。1年バイトをした後、専門学校に行くことを決めたのです。

 

退学した当初と方向性はどんどん変わっていきましたが、息子はその時その時の自分と向き合い、自分の歩く道を決めていったのです。親は、それを信じてサポートに徹していただけ(*^^*)

 

まとめ

いかがでしょうか?今日は、「息子のひきこもり|長期化を防ぐための接し方と社会復帰への道」というテーマでお伝えしてきました。

 

我が家でもそうでしたが、ひきこもりから抜け出すためには時間がかかることが多いです。しかも、年単位で・・・だから、親も子も不安で不安で仕方ない(涙)その気持ちが、私には手に取るように分かります・・・

 

だからこそ「社会復帰」にはいろいろな形があることを受け入れ、『世間の普通』とか『当たり前』という枠に囚われず、一人ひとりに合った方法で前に進んでいければいいですね。

 

そのためにも、親が焦らずに「できることをコツコツと続ける」ことを意識しましょう。もちろん、ひきこもり状態から社会復帰するタイミングもまた、一人ひとり異なります。

 

でも、なぜか「親が変わることでこどもも変わる」ことは、私を含め、多くのケースで共通しています。

 

そこで、ひきこもりの本人にプレッシャーをかけるのではなく、「あなたのことを大切に思っているよ」という気持ちを持って環境を整えながら、本人の土台作りのサポートをしていきましょう。

 

そのプロセスは先が見えず、親にとっても強いストレスがかかりますね。そこで、親自身も無理をせず、必要に応じて専門家のサポートを受けることを忘れずに(*^^*)

 

あなた自身が落ち着いて、こどもの未来を信じて寄り添い続けることが、最終的なひきこもり解決への近道になるはずです。

 

あなたが1日も早く、今、抱えている悩みから解放されることを願っています。

いつでも私は、あなたを応援しています♪

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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この記事を書いた人

『カウンセリングルーム いっぽ』代表 平井いずみ
『カウンセリングルーム いっぽ』代表 平井いずみチェンジングカウンセラー®
~ひきこもりという悩みや生き辛さをチャンスに変えてなりたい自分へと導いていく~
《40代、50代女性専門》チェンジングカウンセラー®の平井いずみです。

現在、鹿児島県在住。インターネットを中心に活動していますが、時々屋久島に出没します。

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